◆◆◆ 逮捕か不逮捕か 池袋暴走事故は高齢ドライバー事故の代名詞となり、高齢者の免許更新や返納について、世論の関心が急速に高まっていった。安倍晋三総理(当時)が指示し、警察庁など複数の省庁が連携して対策をとりまとめた。社会的反響の大きさを受け、警視庁も組織を挙げて免許返納を呼びかける取り組みを次々に行った。飯塚への非難感情も事故が注目された理由だった。 これが捜査の予期せぬ障害となった。 飯塚は「技官のトップ」、つまり位人臣を極めた元キャリア官僚であり、瑞宝重光章を受けていたことから「上級国民」と揶揄された。飯塚を逮捕せず、在宅捜査をしていたことに対して「何らかの圧力を受けているのではないか」という憶測を含んだ抗議の電話が警視庁には殺到した。こうした動きに警視庁は神経を尖らせ、身柄をどうするべきか慎重に検討を行った。 事故直後、捜査の責任者である交通捜査課長は報道陣に対し、逮捕しない理由を